現行の制度と比較してみた時、就労ビザ（ Skilled Worker ）保有者は5年間連続して合法的に居住したら 永住権を申請することができます。永住権を取得するとスポンサー義務から離れて自由に働くことができ、イギリス市民権申請資格も得ることになります。しかし今回、改編案が施行される場合、永住権取得まで10年間、一時ビザの身分を維持する必要があります そして、​その過程でビザの更新回数とビザ申請費、健康負担金、法律・行政費用など、各種コスト負担が大きく増加すると予想されます。企業の立場では 長期間のスポンサー義務を負担をすべきで、そして、人材が途中で離脱する危険度が大きくなります。

さらに、政府白書では従来5年の経路であった人達に遡及適用するか、または転換規制を置くかに関しての言及がなく、法的な不確実性はさらに大きくなっています。もし遡及適用できれば、すでに5年ルートで永住権を準備してきたたくさんの人達、またその人達を雇用している企業の全てが予想できない混乱に苦しむことはありません。

2.  企業とビザ保有者の実務上の課題

今回の改編案は企業へかなりの負担となることがあります。従来5年を基準として労働者計画を立てた企業は長期勤続や専門知識が必要な仕事について労働者運営モデルを全面的に見直すべきです。特に、2025年5月12日の内務大臣発表によると、移民技術負担金（ Immigration Skills Charge ）が32％引き上げられる予定です。この費用は企業が完全に負担すべきとし、労働者に転送することはできません。これにより、企業の人材誘致と維持コストが大きく増えるとみられます。

海外人材の立場でも、イギリスで永住権を得るまで10年待つならイギリス移住に関して魅力がかなり減る ことになります。これは金融、生命科学、技術、エンジニアリングなどグローバル才能の確保が重要な産業で特に否定的な影響を及ぼす事があります。

3.  施行時期および移行規則：持続する不確実性

政策施行時期と切り替え規定について不確実性がまだ大きいです。追加議論を予告しましたが、１０年経路がいつから適用されるか、既存の5年間経路の対象者にも適用されるのか、切り替え処置が用意されるかなどについて具体的に明かされませんでした。これにより、企業の人事・法務チームは長期労働者計画や海外の才能誘致戦略を立てることに大きな悩みになっています。従来5年の経路と信じていたスタッフとのコミュニケーションにも混乱が生じることもあります。

4.  戦略的対応策

このような状況で企業とビザ所有者は次のような戦略的対応が必要です。

まず、現在のスポンサーシップ現状と労働者構造を確認して、新しい規制適用時に影響を受ける労働者が誰かを把握すべきです。

第二に、10年経路が適用される場合、長期的に発生するビザ関連費用（ビザ申請費、健康負担金、行政費 など）​あらかじめ算定し予算を確立すべきです。

第三に、すでに5年経路で永住権申請資格があったり、まもなく資格を得る従業員である場合、政策施行 前に永住権申請を急ぐのが望ましいこともあります。ただし、具体的な施行時期と切り替え規制が確定していないので必ず専門家と相談してください。

第四に、グローバルタレントビザ、イノベーターファウンダービザ、イギリス市民家族ビザなど新しい定住モデルの適用を受けたり、代替のビザ経路の活用する可能性も積極的に検討する必要があります。

永住権取得期間の延長はイギリス移民政策の大きな変化であり、企業の人材確保とグローバル競争力に直接影響を及ぼす可能性があります。イギリス政府はこの制度経由の移民システムの公平性と制御力を高めるという意図ですが、企業の才能誘致やグローバル競争力に否定的な影響がありえます。

何よりも、切り替え規制または具体的な施行時期についての情報が足らず、企業とビザ所有者の全てが法的な不確実性に置かれています。企業では政策の変化を綿密に監視し、必要に応じて移民専門家のアドバイスを受け取り、人材確保とビジネスの連続性が滞りないように準備することも重要です。

私たちのARIS International Lawyersは、今回の政策変更に関連する政府の発表と実務の動向を綿密に監視しています。追加情報が公開され次第ご案内させて頂きます。企業またはスタッフへ、カスタマイズ した法律アドバイスが必要な場合、いつでも020 3865 6219までご連絡いただくか、Eメールでお問い合わせください。